MIC制度下における認められる通貨の拡大および税制優遇要件の改正

18/05/26

著者

ILAWASIA

はじめに

 2026年3月16日、ミャンマー投資委員会(MIC)はNewsletter Bulletin No.1/2026を発行し、重要な政策変更を公表しました。同Bulletinによれば、MICは外国投資資本の払込みに関し、従来の米ドルに加え、中国人民元の使用を認めることとしました。本措置は、ProposalまたはEndorsement申請における投資手続の円滑化を目的とするものです。なお、いずれの通貨による送金についても、Authorized Dealer Licensed Bank(認可外国為替取扱銀行)を通じて実施する必要があります。

主な改正内容

 加えて、同日、MICは、ミャンマー投資法第100条(b)に基づきNotification No.1/2026を発行しました。本Notificationでは優遇対象投資分野において税制上の免税措置または優遇措置を受けるための最低基準が定められています。

A. 税制優遇措置の適用要件

  1. ProposalまたはEndorsement申請に記載された投資総額のうち、少なくとも35%を現金で拠出すること
  2. 投資に外国借入が含まれる場合、投資家は以下の書類を提出すること
  • 中央銀行(Central Bank of Myanmar)が発行した借入承認書(返済スケジュールを含むもの)
  • Authorized Dealer Licensed Bankが発行する、借入金および外国投資資本がいずれも現金で送金されたことを確認する書類

 今回の外貨取扱枠組みの拡大により、投資実務上の利便性は向上する一方で、MICは税制優遇措置の適用に関するコンプライアンス要件を強化しています。投資家としては、承認手続の遅延や優遇措置の適用対象外となるリスクを回避するため、資金調達スキームおよび関連証憑書類を事前に十分確認・整備しておくことが重要です。

B. ミャンマーへの資本持込み手続

 ミャンマーへ資本を送金する場合、まず会社設立手続を完了し、Authorized Dealer Bank(AD Bank)において法人口座を開設する必要があります。その後、株主は会社口座宛てに資本金を送金し、送金名目には「Investment Capital」と明記する必要があります。

 オフショアローンによる資本導入については、事前にミャンマー中央銀行の承認を取得しなければなりません。MIC承認企業についてはMICを通じて手続を行う必要があり、MIC未承認企業については、投資企業管理局(Directorate of Investment and Company Administration:DICA)の要件を遵守する必要があります。承認取得後、借入金はAD Bankを通じてミャンマー国内へ送金されます。

 会社は、資本持込みの証憑として、海外送金受領証(Inward Remittance Advice)を保管する必要があります。また、元本および利息の返済は、中央銀行が承認した返済スケジュールに従って行わなければなりません。さらに、銀行取引明細書(Bank Statement)は、MyCo上での会社設立後2か月以内に提出する年次届出書(Annual Return)に添付して提出しなければなりません。

おわりに

 今回のMICによる二つの措置「認められる外貨の拡大と税制優遇要件の厳格化」は、外国投資を促進しつつ、規制遵守を確保するためのバランスの取れた政策対応といえます。中国人民元による出資を認めたことで、ミャンマーはより幅広い投資家の参入を後押しする姿勢を示しています。一方で、税制優遇措置に関する要件強化により、十分な準備と財務基盤を有する投資家が優遇措置の適用対象となり得る制度設計となっています。

ILAW Myanmarのサポート内容

ILAW Myanmarでは、投資家の皆様が本改正に適切に対応できるよう、以下のリーガルサービスを提供しております。

  • 規制対応アドバイス:MIC要件への適合性確認および必要書類作成のサポート
  • 投資ストラクチャリング支援:通貨要件および現金出資比率要件を満たすための投資スキーム構築支援
  • クロスボーダー案件対応:認可銀行や規制当局との調整を含む、複数法域にまたがる投資案件への対応

当事務所は、クロスボーダー案件に関する豊富な実務経験を活かし、改正後のMIC制度の下で、クライアントの皆様が新たな投資機会を適切に活用しつつ、法的リスクを最小限に抑えられるよう支援いたします。です。