2023年ラオス知的財産法の改正(ラオス)

2024/10/11

著者

ILAWASIA

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2024年3月1日、ラオス官報において2023年11月20日付の新たに改正された知的財産法第50号/NA「2023年知的財産法」が公布されました。この改正は、ラオスの知的財産制度を大幅に更新し、知的財産保護を強化して国際基準に適合させることを目的としています。

これらの重要な変更点を理解していただくために、知っておくべきポイントを網羅したQ&A形式のガイドを作成しました。このガイドでは、2023年知的財産法における最も重要な更新内容と、この改正がラオスで事業を行う企業や知的財産権所有者に与える影響について説明しています。

最新のアップデートに対応し、知的財産戦略が最新の法改正に沿っているかを確認してください。以下は改正法から得られる主要な洞察です。

2023年知的財産法と2011年及び2017年改正法との違いはどのような点ですか。特に商標保護とその執行についての違いはどのような点ですか。

保護期間

2011年知的財産法では、商標保護期間は登録日から10年と定められていましたが、2017年知的財産法で商標保護期間は出願日から10年と変更されており、この点は2023年知的財産法でも同様となっています。

商号

2017年知的財産法では、商工省(MOIC)に登録された法人名などの商号は、登録しなくても保護を受けることができました。しかし、2023年知的財産法では、新たな要件が導入され、商号は第三者による侵害から保護を得るために登録が必要となりました。

取消

2023年知的財産法では、知的財産資産の取消に関する2つの手続きが導入されています。2017年知的財産法では、第三者が知的財産官報での登録公表から5年以内に、商工省(MOIC)に取消の請求を行う手続きが導入されました。さらに、今回の改正では、商標、意匠、または地理的表示の登録が「不正確」または「悪意に基づいて」行われたと判断された場合、その取消ができることが明確に認められています。この権限はMOICが持ちますが「不正確」や「悪意」については明確な定義がなされていません。

「悪意」に関しては、2023年知的財産法の施行前においても、法的に明示されていませんが、審査官は登録前に出願の誠実性を評価してきました。2023年知的財産法では、当局が登録後に悪意を評価する権限が明示的に与えられています。この権限は知的財産局にあり、ラオスが悪意ある出願者の温床になるのを防ぐことを目的としています。

著名商標

2023年知的財産法では、著名商標として認定されるための立証負担が軽減されたようです。2017年知的財産法では、商標が登録されていなくてもラオスで保護を受けるために、著名商標として認められるためのいくつかの基準が設けられていました。その中で重要な基準の一つは、商標に関連する商品やサービスが「領域内で」広く流通していることでしたが、「領域内」という用語は明確に定義されておらず曖昧でした。そのため、商標が著名であると認定される可能性が制限され、ラオス国内での保護が制限される可能性がありました。

もう一つの基準は、国内の消費者がその商標の評判を広く認識していることでしたが、「国内で」という表現も解釈が曖昧でした。2023年知的財産法では、「領域」や「国内」というフレーズが削除され、これらの基準がラオス市場に限定されるかどうかの不確実性が解消されました。今後は、世界的に広く流通しているという証拠も、著名商標として認定される根拠として使用できるようになります。さらに、審査官は追加の基準を考慮することも可能ですが、2023年知的財産法では、すべての基準を満たす必要があるのか、それとも一部の基準だけで十分なのかについては明確にされていません。

侵害

2017年知的財産法では、知的財産権侵害の概念や原則について解説し、法的措置を取るための手段として以下の紛争解決の形式が紹介されていました。

  1. 和解
  2. 仲裁
  3. 行政的救済
  4. 経済紛争解決委員会を通じた救済
  5. 人民裁判所への司法措置
  6. 国際的な紛争解決

2023年知的財産法においては、知的財産権侵害の概念や原則は引き続き提供されていますが、知的財産紛争解決の原則自体は定められていません。しかし、2023年3月30日付の省令第0441号「2023年工業所有権および新品種に関する行政救済の省令」では、工業所有権や新種の異議申し立て、拒絶、取消、または抹消の登録に関する手続きを定めています。この省令により、行政紛争解決委員会を通じてこれらの紛争を解決する手続きが提供されています。

権利の消尽

2023年知的財産法では、「権利の消尽」という概念が導入され、ラオスの知的財産法体系に重要な追加が行われました。この法律では、商標権のある商品が一度販売されると、その商標所有者の権利は消尽するとされています。これは、商標所有者がその商品に対して使用や再販を制限できなくなることを意味し、国際的な「権利の消尽」の原則に一致しています。

この追加により、並行輸入に対する地方当局の見解が明確になる可能性があります。過去において、ラオスは並行輸入に対して寛容な姿勢を示していたものの、その合法性は曖昧でした。特に、医薬品、車両、薬剤など特定の製品については、特定のライセンス供与者から指定されたライセンシーが必要とされ、より明確な法的枠組みがみられますが、全体的な並行輸入の合法性は依然として不明瞭なままです。

2023年知的財産法における「権利の消尽」の概念導入が、ラオスにおける並行輸入の合法性に与える影響と、現地企業および外国投資家に対する潜在的な影響は?

これまで、ラオスは並行輸入を許容し、その規制や禁止には厳格な態度はとっていませんでしたが、その合法性は曖昧でした。2023年知的財産法では「権利の消尽」原則を導入することで、この点が明確化されました。これは、商品が一度販売されると、その商標所有者はその再販やさらなる流通を制限できなくなることを示しています。これは、製品が一度販売されると知的財産権が消尽するという国際的な「ファーストセール・ドクトリン(初売原則)」に一致しています。そのため、他の市場で販売された正規品を扱う並行輸入は、商標権者の同意がなくてもラオスで合法となる可能性があります。

しかし、商標所有者が、第三者が同一または類似の商標を付した商品を使用、販売、輸入、または輸出することを防ぐための条項は改正されていません。これは、権利の消尽の概念と矛盾する可能性があり、解釈の余地を残しています。特定の製品、例えば、医薬品やライセンス供与者の承認を要する製品については、これらの改正されていない規定のために、並行輸入の合法性が依然として不確定なままです。

ブランド商品を輸入して再販する現地企業にとって、権利の消尽の概念はメリットをもたらす可能性があります。商標権者の許可を必要とせずに、国際市場からより低コストで製品を調達できるようになるため、競争力を高め、価格優位性を提供し、国内市場における製品の供給を増やすことができます。

外国人投資家への影響、特に商標権者にとっては、権利の消尽の原則は課題となる可能性があります。この原則により、製品が市場に出回った後は、流通経路や価格をコントロールする能力が低下します。これにより、独占的な流通契約が損なわれたり、ブランド戦略が混乱したりする可能性があります。さらに、並行輸入品が、正規の流通チャネルを通じて販売される製品と同等の品質基準を満たさない場合、ブランドの評判に悪影響を及ぼす可能性もあります。

2023年知的財産法では、商号の法的保護には登録が義務付けられました。この変更は、まだ商号を登録していない企業にどのような影響を与えるのでしょうか。また、企業はどのような措置を講じるべきでしょうか?

商号をまだ登録していない企業は、他者が類似または同一の商号を使用するのを防止することができなくなる可能性があります。競合他社や他の第三者が類似の商号を登録することで、その企業が元の商号で事業を運営することが制限される恐れがあります。法的保護を確保するためには、企業は商工省(MOIC)に対して商号の登録を行う必要があります。

2023年知的財産法により、電子作品が著作権保護の対象に拡大され、応用美術の保護期間が延長されたことに伴い、ラオスのアーティストやクリエイターにどのような課題や機会があると考えられますか?

2023年知的財産法では、電子作品が著作権保護の対象に拡大され、応用美術の保護期間が25年から30年に延長されました。これにより、クリエイターは自らの創作物に対する排他的権利をより長期間享受できるようになります。ライセンス契約、販売、ロイヤリティ、その他の商業化形態を通じて、創作物から収益を得るための時間が増えることになります。

一方で、電子著作物への著作権保護の拡大に伴い、権利の行使がより複雑になる可能性があります。特に、適切な法的・技術的リソースを持たないクリエイターにとって、オンラインでのデジタル作品の無断使用を監視することは大きな課題となるでしょう。

商標および工業意匠登録に関する悪意のある申請に関する新しい規定は、「商標の不法占拠」に関する懸念にどのように対応し、公平な権利行使を確保するために、さらにどのような明確化が必要でしょうか?

2023年、商工省(MOIC)は「工業所有権および新品種に関する行政救済の省令」(第0441号/IC、2023年3月30日付)を公布しました。

悪意のある申請に対して法的措置を講じるためには、申請者は異議申し立て、拒絶、取消、または登録の抹消を求める申請を行う必要があります。この申請は、行政紛争解決委員会によって審議されます。

申請者は、悪意のある商標出願および工業意匠登録に対して、各県およびヴィエンチャン首都の商工省に申請を行うことができます。また、工業意匠登録に関する紛争解決を求める場合には、知的財産局に申請を行うことも可能です。

審査官による審査にかかる期間は約103日で、審査後、審査結果に不服がある場合は、通知日から30日以内に異議申し立てを行うことができます。証拠が十分かつ合理的であると認められた場合、当局は5日以内に再審査を行います。

悪意のある申請が登録された後でも、MOICにその登録を取り消す権限を付与することにより、「商標の不法占拠」(トレードマーク・スクワッティング)の是正措置を講じることができます。多くの悪意のある登録は申請プロセス中にはすぐに明らかにならない場合があるため、この制度は商標の不法占拠に対抗する上で不可欠な制度です。この制度により、不法占拠された商標に商標権が付与された後に、これを無効にする仕組みを提供するものです。

しかし、今回の改正では、「不正確」または「悪意に基づいて」登録された商標、工業意匠、または地理的表示を取り消す可能性が明示されていますが、これらの用語は定義されていません。「不正確な」登録が何を意味するのかを明確にするために、さらなるガイドラインが必要となるでしょう。

当事務所について

ILAW LAOSは、AsiaIP Magazineによってラオスにおける商標分野でTier 1法律事務所として認定されました。今後もこの分野に関する最新情報についてお知らせいたします。ラオスにおける商標保護について、現行法や新法に基づく詳細な情報が必要な場合は、IP@ilawasia.comまでお気軽にご連絡ください。