概要
植物品種の開発に投資する開発者や育種者は、法的に保護されることが重要です。タイでは、「植物品種保護法 2542年(西暦1999年)」(Plant Variety Protection Act, PVPA)に基づき、新植物品種(NPV:New Plant Variety)を登録することで保護が受けられます。本法律は、新植物品種に対して法的権利および保護を付与することで、品種開発へのインセンティブを創出し、育種者の権利を確立することを目的としています。
主要ポイント
A. 新植物品種(NPV)の登録
NPVを登録するためには、申請者が法律で定められた要件を満たす育種者である必要があります。主な要件として、以下のいずれかに該当する必要があります。
- タイ国籍を有する者、またはタイ国内に本社を持つ法人であること
- タイ国民またはタイ国内に本社を持つ法人が保護申請を行うことができる国の国籍を有する者であること
- タイが加盟している植物品種保護に関する国際条約または協定の締約国の国籍を有する者であること
- 現に、タイ国内またはタイが加盟する植物品種保護に関する国際条約または協定の締約国に、居住している者、または適法に工業的もしくは商業的事業を行なっている者[1]
また、登録可能なNPVは、法律で定められた次のような特性を備えている必要があります。[2]
| No. | 基準 | 詳細 |
| 1 | NPVであること | 申請日前1年以上にわたり、育種者またはその同意を得た者によって、タイ国内外で販売・取引・その他の手段により利用されていないこと |
| 2 | 識別性(独自性) | 申請日時点で認識されている他の植物品種(PV)と比較し、栽培方法、消費用途、医薬品利用、生産、加工などの観点から、明確に区別できること (a) 申請日前にタイ国内外で登録された植物品種(PV) (b) タイ王国で登録申請され、その後登録された植物品種(PV) |
すべての要件を満たした後、申請者は農業局(Department of Agriculture)に申請を提出する必要があります。申請は担当官によって審査・処理され、その後、農業局長によって公告されます。
公告後、90日以内であれば、以下の者は異議申立てを行うことが可能です。
- 申請者よりも優先権を有すると考える者
- 登録が法的要件を満たしていないと考える者
なお、異議申立てがない場合でも、登録手続きには約30~34か月を要します。これは、新植物品種(NPV)の栽培試験も登録手続きの一環として実施されるためです。[3]
B. 新植物品種(NPV)登録者の権利保護
NPVの登録が承認されると、農業局長が登録されたNPVの名称を公表します。[4]申請者はNPV登録証を取得し、当該NPVの権利保有者となります。これにより、権利保有者は以下の行為を行う権利を有します。
| No. | 権利 | 詳細 |
| 1 | 専有権(Exclusive Rights) | 権利保有者は、種子および繁殖用資材の生産、販売、取引、輸入、輸出、または所持を独占的に行う権利を有する。 権利保有者の同意なくこれらの行為を行った者は、最長2年の禁錮刑、最大40万バーツの罰金、またはそれらが併科される可能性がある。 |
| 2 | 許諾権(Permitting Rights) | 権利保有者は、自身の権利を他者に許諾または譲渡することができる。 権利の譲渡は、書面で行い、登録する必要がある。 |
| 3 | 損害賠償請求権(Right to damages) | 専有権を侵害した者に対し、裁判所は権利保有者の損害を考慮し、適切な損害賠償を命じることができる。 賠償額は、損害の性質、利益損失、および権利行使に要した費用を考慮して決定される。 |
新植物品種(NPV)登録証の有効期間
NPV登録証の有効期間は、以下のとおり定められています。
| No. | 品種の種類 | 有効期間 |
| 1 | 栽培後2年以内に果実をつける新植物品種 | 12年 |
| 2 | 栽培後2年以上で果実をつける新植物品種 | 17年 |
| 3 | 栽培後2年以上で、その一部が利用可能な新植物品種 | 27年 |
結論
このように、植物品種保護法(PVPA)の下で保護された新植物品種(NPV)の開発者または育種者は、その生産、販売、取引、および流通に関する独占的権利を有します。違法な生産、販売、取引、輸入、輸出、または所持が行われた場合、NPVの権利保有者は裁判所に対し、違反者の行為の差止めおよび損害賠償を請求する権利を行使できます。違反者には、最長2年の禁錮刑、最大40万バーツの罰金、またはそれらが併科される可能性があります。
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[1] 植物品種保護法 2542年第15条
[2] 植物品種保護法 2542年第12条
[3] 植物品種保護法2542年における新植物品種登録の手続きについては、政府機関情報センターの下記のリンク先に掲載されている(2025年2月20日時点)。https://bit.ly/417KW7X
[4] 植物品種保護法 2542年第29条、第30条