付加価値税 (VAT): 登録制度・税率・コンプライアンス (タイ)

24/04/26

著者

Tanadee Pantumkomon, Partner.

タイにおける付加価値税(VAT)は、主として歳入法典により規律されており、これに加えて、勅令、省令および歳入局長告示が適用されます。VATは、物品および役務の提供、ならびにタイへの物品の輸入に対して課される消費税であり、事業者は国家に代わってこれを徴収する義務を負います。

VAT 登録

 歳入法典第85/1条に基づき、事業者がタイ国内において物品の販売または役務の提供を行い、その年間売上高が180万バーツを超える場合には、VAT登録を行わなければなりません。VAT登録は、当該売上高基準を超えた日から30日以内に完了しなければなりません。登録義務があるにもかかわらず登録を行わない場合、歳入法典第90/2条により、1か月以下の拘禁刑、5,000バーツ以下の罰金、またはその併科の対象となります。

 重要なのは、登録を怠ったとしても納税義務が消滅するわけではないという点です。VAT登録を行わなかった者も、適法に登録していた場合と同様に、なおVAT額について納税義務を負います。未納VATに加えて、納税者は歳入法典第89条および第89/1条に基づく割増金および延滞加算税の対象となります。納付すべき税額の最大2倍の割増金が課される可能性があり、また、未納税額に対しては月1.5%の延滞加算税が課されます。この場合、1か月未満の端数も1か月として計算されます。

 さらに、タイ国内で使用または消費される役務を提供する非居住者事業者についても、取引のストラクチャーによっては、歳入法典第77/2条および第83/6条に基づきVAT上の義務が生じる場合があります。外国の役務提供者がタイでVAT登録を行っていない場合には、一般にリバースチャージ方式によりVATが徴収され、タイの役務受領者が自らVAT額を算定し、申告・納付しなければなりません。判断基準となるのは、役務提供者の所在地ではなく、当該役務が使用または消費される場所です。

VAT税率

歳入法典第80条に基づく法定VAT税率は10%ですが、現在の実効税率は、歳入法典に基づいて発出された勅令第799号により7%に引き下げられています(現行の勅令の有効期限は2026年9月30日まで)。この引下げ措置は、通常、政府の判断により毎年更新されています。

一定の取引については、歳入法典第80/1条に基づきゼロ税率が適用されます。これは、VATが0%で課される一方で、仕入VAT(仕入税額)の控除が引き続き認められることを意味します。通常、これには、物品の輸出および歳入局長VAT告示第105号により定められる適格な国際サービスが含まれます。

他方、農産物の販売、教育サービスおよび医療サービスなどの一定の取引は、歳入法典第81条に基づきVAT免税とされています。これらの場合、VATは課されず、また、法令に別段の定めがある場合を除き、仕入VATは原則として控除できません。

また、一定の取引については、VATではなく特定事業税(SBT)の対象となります。これは、タイ法が、主として金融業その他これに類する一定の事業活動について、SBTをVATに代わる税として位置付けているためです。歳入法典第77/3条に基づき、取引が同法に定めるSBTの対象区分に該当する場合、その取引は法令上VATの適用対象から除外され、VATではなくSBTのみが課されます。

VATコンプライアンスおよび申告

第83/2条に基づくVAT登録事業者および第83/3条に基づくその代理人は、第83条に従い、適式な税額票を発行し、VAT記録を作成・保存し、かつ翌月15日以内に月次VAT申告書(PP.30)を提出しなければなりません。納付すべきVATがある場合には、申告時にこれを納付しなければなりません。

第82/3条に基づき、仕入VATは、税額票が法定要件を満たしており、かつ関連する費用がVAT課税対象活動のために発生したものである場合には、売上VATから控除することができます。仕入VATが売上VATを上回る場合、その超過額は、第84条に従い、歳入局の手続および税務調査を条件として、翌期へ繰り越し、または還付を受けることができます。

歳入法典第90条から第90/5条は、VAT義務違反に対する罰則の枠組みを定めており、軽微な行政上の不備から、故意の脱税を伴う重大な刑事犯罪までを対象としています。罰則の重さは、違反行為の性質、法令違反の程度、および故意の有無に応じて段階的に加重されます。

第90条は、VAT申告書の不提出、VAT登録事項の変更届出の不履行、税額票の不適切な発行または保存、法定帳簿の不備といった、軽微な行政上または手続上の違反を対象としています。これらの違反には、2,000バーツ以下の罰金が科され、一般に、比較的リスクの低いコンプライアンス違反として扱われます。

第90/1条は、VAT登録管理、登録証明書の掲示、事業譲渡または廃業の通知に関する違反を含む、より重大な行政違反を対象としています。これらの違反には、5,000バーツ以下の罰金が科され、規制上の重要性がより高いものとして位置付けられていますが、身体拘束刑は伴いません。第90/2条は、VAT登録を要するにもかかわらず登録を行わずに事業を営むこと、税額票の不発行、レジスター規制への不遵守、および課税官の命令の不履行など、基本的なVAT義務違反について刑事責任を導入しています。これらの違反には、1か月以下の拘禁刑、5,000バーツ以下の罰金、またはその併科が科され、行政執行から刑事執行への移行点を示すものとなっています。

第90/3条は、海外代理人による無権限の税額票発行、未承認のレジスター機器の使用、義務的なVAT帳簿の不作成、および税務職員の職務執行妨害など、加重された手続違反および執行妨害に関する違反に適用されます。制裁は、6か月以下の拘禁刑、10,000バーツ以下の罰金、またはその併科へと引き上げられます。

第90/4条は、税額票の不正発行または不正使用、虚偽申告、税額票の不発行、および欺罔的なVAT還付請求など、脱税の意図を伴う重大なVAT違反に適用されます。これらの違反には、3か月以上7年以下の拘禁刑および2,000バーツ以上200,000バーツ以下の罰金という重大な刑事罰が科され、租税詐欺の刑事的性質を反映しています。

第90/5条は、法人によるVAT違反が、取締役、マネージャーまたは責任ある役員の命令、行為、または不作為によって生じた場合に、これらの者にも責任を及ぼすものです。当該個人には、基礎となる違反行為について定められたものと同一の罰則が科され、法人税務コンプライアンスにおける個人責任が強調されています。

実務上の留意点

タイにおけるVATコンプライアンスは、歳入法典の下で、適式な書類の整備と税務調査への対応が重視されています。歳入局は、税額票が適正に発行されているか、取引が単なる書面上のものではなく実体を伴うものか、また、VAT申告が法人所得税申告と整合しているかを確認します。書類が不備であったり、内容に不整合があったり、または実際の事業活動を反映していない場合には、事業者は、税額の更正、罰則の適用、さらに追加調査の対象となる可能性があります。

クロスボーダー取引、グループ会社間取引、または専門性の高い業種に関与する企業は、VAT上のリスクがより高いため、税務調査や紛争のリスクを軽減するためにも、VATが適切に課税され、申告され、かつ適切な内部統制によって裏付けられていることを確保する必要があります。

結論

タイにおいてVATを適切に管理するためには、歳入法典に定める法定要件を厳格に遵守することが求められます。登録および月次申告という基本的義務に加え、事業者は、重大な行政罰および刑事罰のリスクを軽減するため、税額票の正確性と包括的なVAT記録の維持を重視しなければなりません。歳入局が書類に基づく税務調査を重視していること、および取締役に個人責任が及ぶことを踏まえると、法令遵守の徹底と長期的な事業の安定性を確保するため、強固な内部統制体制を構築することが不可欠です。

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